潰瘍性大腸炎と大腸癌
本記事は潰瘍性大腸炎と大腸癌の関係についてです。
この記事でわかること
潰瘍性大腸炎と大腸癌の関係およびリスクを下げる方法について
潰瘍性大腸炎は大腸の病気であり、その後
大腸癌を発症するリスクになる
と言われています。
日本人の潰瘍性大腸炎の何割に大腸癌が発生するかは残念ながら検索した範囲ではわかりませんでしたが、アジア人では
診断後20年で4.8%、30年で13.9%に大腸癌が発生
したという報告もあります。
また、欧米での報告では一般住民に比べて、
潰瘍性大腸炎関連大腸癌の死亡率は高い
との報告もあります。
日本や海外においても、発症から8年が経過した一部の潰瘍性大腸炎には内視鏡で癌の検索を推奨しています。
しかしながら潰瘍性大腸炎関連大腸癌の約2割の患者さんは発症後8年以内に発症しており、一律にいつ大腸癌の検査を行うかは定まっていません。
上の記事に挙げたように、潰瘍性大腸炎は20代の若い人に多い疾患ですが、40歳や50歳に発症した遅発症例に発症後早期の大腸癌が多いとも言われているので、この年代の患者さんは特に注意が必要かもしれません。
潰瘍性大腸炎関連大腸癌のリスクの1つは罹病期間が長いことが挙げられます。
つまり、潰瘍性大腸炎の治療を適切に行うことが、大腸癌のリスクを下げることにつながります。
実際に5-ASA製剤を使用することは、使用しない患者さんに対して
40〜50%リスクを低下
させることができると言われています。
やはり
寛解維持を持続させることは大腸癌のリスクを下げる点でも、潰瘍性大腸炎の治療に極めて重要
であり、そのためにも一度寛解しても継続して5-ASA製剤などを使用し続け、再燃させない努力を続けることが大切です。
参考:
ACG clinical guideline: ulcerative colitis in adults
Third European Evidence-based Consensus on Diagnosis and Management of Ulcerative Colitis
Bopana, Lancet gastroenterol Hepatol. 2017
Olen, Lancet. 2020