中等症〜重症の潰瘍性大腸炎への治療の比較
本記事は中等症から重症の潰瘍性大腸炎への治療のメタ解析による比較についてです。
この記事でわかること
難治の潰瘍性大腸炎への各種治療や副作用の比較
Lancetという超一流雑誌の兄弟誌に難治潰瘍性大腸炎への生物学的製剤などを比較したメタ解析が掲載されていたので紹介します。
この研究は1990年から2021年までに発表された目的に合致する論文を全て集めて比較したものです。
比較した潰瘍性大腸炎の患者数は10,061人とのことです。
この中で最も良好は寛解導入効果が優れていたのは
ウパダシチニブ(リンヴォック)
でした。
そのほかの薬剤のオッズ比は
インフリキシマブ(レミケード):2.70
アダリズマブ(ヒュミラ):4.64
ゴリムマブ(シンボニー):3.00
ベドリズマブ(エンタイビオ):3.56
ウスキヌマブ(ステラーラ):2.92
トファシチニブ(ゼルヤンツ):2.84
フィゴチニブ200mg(ジセレカ):4.49
という結果でした。
ウパダシチニブ(リンヴォック)は現在のところ(2022年9月現在)は潰瘍性大腸炎への適応は国内ではありませんが、同じJAK阻害薬であるフィゴチニブも優れた効果を示しており、JAK阻害薬が今後中等症から重症の潰瘍性大腸炎へ使用されていくようになるかもしれません。
一方で、ウパダシチニブ(リンヴォック)が軽微なものも含めた有害事象が最も多い薬剤となりましたが、特にそのことに対する介入については各薬剤とも差はありませんでした。
重篤な有害事象が最も多かったのはオザニモドという日本では潰瘍性大腸炎には承認されていない薬剤でした。
ちなみに最も有害事象が少なかったのはベドリズマブ(エンタイビオ)でした。以前の記事でも副作用が少ない薬剤と紹介していましたが、その通りの結果になりました。
それぞれの治療薬については下記の記事も参考にしてください。
参考:Lasa, Lancet Gastroenterol Hepatol. 2022