寛解維持中に5-ASAは減量できるのか
本記事は潰瘍性大腸炎の寛解維持中における5-ASAの減量についてです。
この記事でわかること
寛解維持中の5-ASAの減量の可能性
潰瘍性大腸炎は基本的に「完治する」ということは現在のところ期待できず、寛解維持をしていても再燃の可能性が消えない病気です。
そのため、5-ASA(ペンタサやメサラジン)を中止する明確な根拠や条件は定まっておらず、寛解しても一生続けていく必要があります(僕も主治医からはできれば一生続けるのが望ましいと言われています)。
しかしながら、副作用がないわけではなくかつ毎日続けていくのは現実問題として難しい人がいるのも現状です。
今回は獨協医科大学の発表した日本人のデータを用いた5-ASAの減量についての論文を紹介します。
この論文では5-ASAを同量で維持した人たちと、減量した人たちを比較しています。
全体としての結果を見ると、やはり
減量した人たちよりも同じ量で継続していた人たちの方が寛解維持できている割合が高い
という結果でした。
同じように減量した人たちと同じ量で継続していた人たちの中で、内視鏡的に粘膜治癒をしている人たちだけを比べても、
同じ量で継続している人たちの方が寛解維持できている割合が高い
ということがわかりました。
唯一、内視鏡での粘膜がMES0の人の中では、
5-ASAを減量した人と、同じ量で継続した人の寛解維持の割合に差はない
という結果でした。
※MES0については以下を参照
この論文は全体で200人程度の研究のため、そのまま日本の現状に当てはめていいかは議論がありますが、少なくとも5-ASAを減量できるかもしれないのは内視鏡で粘膜がMES0まで改善した人に限られると言えそうです。
実際に減量を行う際は本記事のみを参考にせず、必ず主治医と相談して決めてください。
参考:
Takahashi, Scand J Gastroenterol. 2016