潰瘍性大腸炎と食事(栄養)の関係
本記事は潰瘍性大腸炎と食事(栄養)についてです。
この記事でわかること
潰瘍性大腸炎と関連する栄養や日々の食事の注意点
潰瘍性大腸炎は大腸の病気であり、日々食べている食事の内容についても注意が必要か確認しました。
結論としては、
厳格な食事制限などは基本的には必要ない
と考えられています(急性期で病状が不安定な場合は除きます)。
まず、肉や卵などのタンパク質を摂取することで潰瘍性大腸炎の再燃と関連するかが2000年にイギリスで調査されています。
その結果の中には、
肉類や加工肉を多量に摂取することで再燃のリスクが3〜5倍になる
というものもあります。
しかしながらこの研究では平均年齢が51歳で、1年間で対象患者の50%近くが再燃をしており、現在の潰瘍性大腸炎の現状と合っているかという疑問が残ります。
また、本論文では患者さんの食習慣の管理が再発リスクを下げることはないが、栄養素に悪影響を及ぼすとも記載されています。
他には乳製品について調べられた同じくイギリスの調査では、乳製品を避けることが再燃に関わるという結果は出ませんでした。
つまり、乳製品の摂取はあまり気にせず摂っていい可能性が高いと思われます。
ちなみに飲酒については
アルコール摂取をたくさん行うことで再燃のリスクが上がる
というものもあれば(この研究では再燃しなかった患者の摂取していたアルコール量は日本酒0.5合、ビール250ml、ワイン1杯程度でした)、1〜3杯の赤ワインを摂取した患者さんは便中カルプロテクチンが低下するといった内容の報告もあります。
現段階では、アルコールは大量に摂取しない限りは問題がない可能性がありますが、エビデンスの質は低いのが現状です。
基本的には肉やアルコールに関しては大量に摂取した患者さんで再燃のリスクが高くなるという報告が多いので、適度な摂取に留めた方が無難であると思います。
また、ガイドラインにおいては潰瘍性大腸炎に対する栄養療法による寛解導入効果はなく、むしろ食事制限が栄養維持やQOLを損なう可能性があるため、行うべきではないと記載してあります。
同様に、食事制限に気を使うよりは、きちんとした薬物療法や血球成分除去療法を治療の主体とするべきと述べられています。
急性期で病状が不安定な状況では、きちんと主治医と食事内容についても相談してください。
大藤, 診断と治療. 2019