潰瘍性大腸炎の治療におけるステロイドについて
この記事でわかること
ステロイドの効果や副作用
ステロイドは潰瘍性大腸炎の治療において、特に寛解導入に重要な薬剤の1つで、古くからその効果が分かっています。その一方でステロイドは長期投与による副作用なども心配される薬なので、今回は取り上げてみます。
ステロイドの効果・種類
まず潰瘍性大腸炎におけるステロイドは寛解導入(症状を抑えて落ち着かせる)のために用いる薬剤であり、基本的には
寛解維持(再度増悪しない状態を保つ)効果はない
とされています。
そのため、
基本的には症状が悪い時に使用し、落ち着いたら漸減(徐々に減らす)や離脱を目指します(長期に使用し続ければいいというものではありません)。
剤型は局所投与のものと、全身投与のものに分かれています。
潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針において、局所療法(座薬、注腸薬、フォームなど)はどの段階の重症度でも用いられることがあります(特に直腸炎型において)。
全身投与(経口薬)の治療量は軽症・中等症では1日30-40mg、重症では1日40-80mg(成人では1-1.5mg/kgを目安)とされていて、1週間程度の内服治療を行っても改善が見られない際は、さらに治療強化(血球成分除去療法や免疫抑制薬の導入など)をすることになっています(つまり効果がないステロイドを漫然と継続することはありません)。
上でも書いたように、ステロイドは局所療法も含めて寛解導入療法が奏功した際には漸減・離脱し、寛解維持療法へ向かうように記載されており、具体的な期間については、
原則3ヶ月以内にステロイドから離脱
することとされています(症状によってはより長期に使用することもありますが、副作用も含めて主治医の先生とよく相談してください)。
ステロイド抵抗性(ステロイドを使用しても1-2週間以内に改善が得られない)やステロイド依存性(一時的にステロイドに効果があっても減量や中止で増悪・再燃する)は難治例とされているため、より細分化した治療選択が必要です。
ステロイドの副作用について
ステロイドの副作用としては食欲亢進、耐糖能障害などの短期的なものから、白内障、緑内障、副腎抑制、易感染性(感染症にかかりやすくなること)、骨粗鬆症などの中〜長期的なものがあります。
短期的なものはステロイドを終了することで自然に改善するものもありますが、長期的に副作用についてはステロイドを終了後も症状が残ってしまうこともあるため、使用期間や副作用の検査は注意深く決める必要があります。
一般的にはステロイドというと嫌がる患者さんもいますが潰瘍性大腸炎の治療においては重要な薬剤であると言える一方で、その使用や期間には十分注意しながら行う必要があると言えます。
参考: