医師の僕が潰瘍性大腸炎になって調べたこと

潰瘍性大腸炎になってしまった医師のブログです。

免疫抑制作用のある薬剤使用の注意点

本記事は免疫抑制作用のある薬剤を使用する際の注意点についてです。             

この記事でわかること

潰瘍性大腸炎に免疫抑制作用のある薬剤を使用するときの注意点

 

潰瘍性大腸炎の治療が5-ASA製剤やステロイドでコントロールできない際は重症度や患者さんの状況を踏まえて免疫抑制作用のある薬剤を使用することになります。

 

ucdoctor.hatenablog.com

ucdoctor.hatenablog.com

 

いずれも効果が期待できる治療ではありますが、

免疫抑制作用のある薬剤は感染症に対する防御機構を弱めてしまう可能性

もあり、開始前に注意が必要です。

 

免疫抑制を考慮する際に注意する感染症は複数ありますが、B型肝炎ウイルスの再活性化(de novo肝炎)は問題となると重篤な状態に陥ることもあり特に注意が必要です。

 

他にも抗TNFα抗体製剤(レミケードなど)を用いる際は特に結核の有無に注意が必要です。

X線検査やCT検査で結核らしい陰影がないかや、血液検査でIGRAという結核のスクリーニングを行いますが、肺以外に結核菌が存在している際には肺外結核が問題となりますし、IGRAも100%結核感染の有無を保証してくれるわけではないため、治療後の症状には注意をする必要があります。

以前は結核などが発症した際は一度免疫抑制を中止して治療を行うことが多かったようですが、それだと原病である潰瘍性大腸炎が増悪することもあるためガイドラインにも安易に中止すべきではないと記載されています。

 

また、成人ではあまり打つ機会はありませんが、生ワクチンと言われる一部のものは免疫抑制中には原則禁忌となっているため、もし接種機会があれば必ず確認が必要です。

 

参考:炎症性腸疾患(IBDガイドライン2020