5-ASAの作用機序
本記事は潰瘍性大腸炎へどのような機序で5-ASAが効果を発揮しているかについてです。
この記事でわかること
潰瘍性大腸炎への5-ASAの作用機序
潰瘍性大腸炎、特に軽症から中等症の患者さんには5-ASA(5-アミノサリチル酸の略)製剤と言われる薬剤で寛解導入を行ったり、維持を行ったりします。
今回はこの5-ASA製剤がどのようにして効果を発揮しているかについてです。
ちなみに医療者はこの5-ASAを「ごあさ」と呼ぶことが多いです。
まず、潰瘍性大腸炎は免疫の異常により腸の粘膜細胞が攻撃を受けてしまう炎症性腸疾患です。
炎症細胞が放出する活性酸素や炎症反応物質などがその原因ですが、その発生にはロイコトリエンと呼ばれる物質が関与しています。
この薬剤は活性酸素を除去したり、ロイコトリエンの生成を抑制することで効果を発揮すると言われています。
薬剤自体はサラゾスルファピリジンという成分ですが、これは体内でスルファピリジンとメサラジン(5-ASA)に分解され、主に5-ASA部分が炎症を抑える役割を担っています。
5-ASA製剤にも種類があり、特に内服薬は一般的な上記作用を小腸から大腸で示すペンタサ、より大腸で5-ASAが放出されるように改良されたアサコールなどがあります(アサコールはより大腸選択的に効果を発揮するためクローン病には使用できません)。これらは1日3回内服が必要です。
一方で、リアルダは製剤がフィルムコーティングされており、他の薬剤と異なり1日1回が可能となっています。便利な反面で「冷所保存」が必要な点がやや難点かもしれません。
5-ASAは古くから潰瘍性大腸炎に用いられており、特に軽症から中等症の患者さんには欠かせない薬剤ですが、作用機序が全て判明しているわけではありません。
副作用も時々見られる薬剤ではあるので、主治医と相談しながら使用してください。
参考:添付文書など