新型コロナウイルス流行第一波が潰瘍性大腸炎に与えた影響
本記事は潰瘍性大腸炎と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第一波についてです。
この記事でわかること
COVID-19と潰瘍性大腸炎への影響
潰瘍性大腸炎は心理的や身体的なストレスが増悪のリスクとされており、東日本大震災の時にも潰瘍性大腸炎の増悪のリスクが高まるという論文が発表されています。
今回は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第一波の影響を調査した論文を紹介します。
この論文は獨協医科大学埼玉メディカルセンターから発表されており、獨協医科大学関連の潰瘍性大腸炎の論文をよく目にします。研究が盛んなのでしょうか?
この研究では、修正UC disease activity index(UC-DAI)という指数と、増悪率を比較しています(修正UC-DAIは前回来院時との比較、増悪率は2019年の患者さんと比較)。
結果としては
COVID-19の第一波の期間では、修正UC-DAIと増悪率がどちらも有意に上昇している
ということがわかりました。
特に
増悪率が2019年と比較して、第一波では8.9%→15.9%と2倍弱まで上昇しています。
この研究は後ろ向き研究でややエビデンスレベル(研究の質)が低く、COVID-19と潰瘍性大腸炎の直接な因果関係までは言えませんが、年齢や性別・治療内容などが大きく変わらない中でこれほど増悪率が変化したことは影響を示唆しているとは思います。
この後の第二波以降の影響は今後結果として出てくるかもしれませんが、潰瘍性大腸炎患者にとってはCOVID-19流行などがリスクをなりうる可能性があるため注意が必要です。
※修正UC-DAIは便の回数、出血、医師による活動度の評価の合計点です。
参考:
Suda, World J Clin Cases. 2021