潰瘍性大腸炎の治療について（軽症〜中等症、活動期左側大腸炎型or直腸炎型）
本記事は潰瘍性大腸炎の初期治療についてです。
この記事でわかること
潰瘍性大腸炎には炎症性腸疾患（IBD）ガイドライン2020や潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針などが示されています。
上記を踏まえた潰瘍性大腸炎（軽症〜中等症、活動期左側大腸炎型や直腸炎型）の初期治療（寛解導入療法）について説明します。
まず、潰瘍性大腸炎は重症度と病変の場所で区分されています。
直腸のみに病変のある直腸炎型、直腸から左結腸に病変のある左側大腸炎型、全ての大腸に病変のある全大腸炎型などです（分類については後日取り上げます）。
ここでは
について取り上げます。
炎症性腸疾患（IBD）ガイドライン2020では治療プロトコールは以下のようになっています。
まず、どちらも軽症〜中等症であれば5-ASA製剤を中心に治療を開始します。
直腸炎型はより肛門に病変が近いため坐剤を、
左側大腸炎型では肛門からやや遠い箇所に病変がある可能性があるため、注腸に加えて経口内服薬が併用
されることがあります。
5-ASA製剤のみで寛解（状態が改善すること）してしまえば、寛解維持と言って再度増悪しないように保つ治療を継続します。
5-ASAのみで改善しない患者さんは、まずはステロイドの坐剤や注腸と言った局所治療が行われ、それでも改善しない患者さんにはステロイドの全身投与（内服など）が行われます。
ここまでで寛解できれば寛解維持へ進めますが、ステロイドの全身投与でも効果がなかったり（抵抗例）、ステロイドを飲んでいる間は落ち着いていても減らしたり休止したりすると再度増悪する（依存例）患者さんは免疫調整薬やさらなる高次治療へ進むことになります。
潰瘍性大腸炎は臨床的な寛解（症状が落ち着く）や、内視鏡的な寛解をまずは目指すことになるため、この治療のプロトコールに準じて治療を選択していくことが重要になります。
