潰瘍性大腸炎とタバコ
本記事は潰瘍性大腸炎と喫煙の関係についてです。
この記事でわかること
喫煙が潰瘍性大腸炎にどのような影響を与えるか
一般的にタバコ(喫煙)は健康を害するというイメージがあり、事実そのような影響が多いのも事実です。
しかしながら、潰瘍性大腸炎については少し事情が異なるようです。
1998年に喫煙と潰瘍性大腸炎のレビューが発表されました。
内容を簡単に説明すると
「過去の喫煙(現在は禁煙)」は発症のリスク因子
「現在の喫煙」が発症の予防因子
というまさかの結果でした。
その後も数百人規模の研究がいくつか行われましたが、有意な差はないとするものから、やはり「過去の喫煙」はリスクとするものまで複数あります。
ちなみに「現在の喫煙」がリスクになるというものはなさそうです。
このため、潰瘍性大腸炎だけに限ってみると喫煙が悪さをする可能性は低く、むしろ良い効果を持つ可能性があります。
症例報告レベルですが、標準的な治療に抵抗性(ステロイドやインフリキシマブ、アザチオプリン、タクロリムスでも寛解しなかった)だった禁煙中の患者さんが、
再度喫煙したところ急速に寛解まで改善し粘膜治癒を得た
という報告もあります(1例のみの報告なので一般化はできません)。
ニコチンパッチを使用することで寛解率が高いという報告もあり、禁煙する際にはニコチンパッチの使用を考慮する必要などがあるかもしれません。
タバコはその他の病気には悪さをすることが多いため、積極的な喫煙は勧められませんが現在喫煙中の方は主治医に相談した方が良いと思います。
参考:
Thomas, Am J Gastroenterol. 1998
大藤, 診断と臨床. 2019
浜本, 日消誌. 2017